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今年一月であったか、わたしは所有している携帯電話をあたらしくしたのだが、その携帯電話が、昨夜未明聞いたこともない呼び出し音で、しかも大音量で突如鳴りひびいた。
つづけて以下、よしなきことを書いてゆく。 携帯が叫喚したのは、ちょうど丑三つ時である。 ほんとに、仰向けに寝ていたわたしはびっくりして身をひるがえし ”ほふく前進” のていで、刹那空中に浮かんだほどである。 照明ランプのスイッチを入れると、どうやら音のでどころは枕頭に置いてある携帯電話かららしい。 なにか届いてますよ、といったことを知らせるあかりが明滅していた。 携帯画面上部に、見たことのないちいさなエクスクラメーションマークが貼り付いている。 携帯に疎いわたしはそこから四五分ほどかけて、やっとそれが災害などの速報メールの通知であることを理解した。 「・・・・・津波が?」 はて、わたしの住む北河内に津波が到来するかもしれない、といった内容のメールで、こと詳細は書かれていなかった。 いずれにせよ、西日本のどこかでおおきな地震が発生したにはちがいない。 「であるが、まあ大丈夫だろう」 と、そのまま布団に潜りなおしたのだが、この世は有為無常である。 ひとまずパソコンをたちあげ調べてみると、果然おおきな地震が太平洋沖で発生したらしい。 まさにたたき起こされたといった携帯電話のあの雷鳴は、その万が一を知らせる梵鐘、ひびきだったのである。 むろん、わたし以外の北河内住人にもこのメールは届いているはずで、このことはありがたいとおもうひともおおぜい居るのだろうが、わたしはますます携帯などというものを持ちたくなくなった。 今回の場合に関してのこの機能は好例であるが、この機能が全般的に普遍化するとすれば、これははげしく云えば個の尊厳を排他する傾向の、いわば見えざる支配を国民は受け入れるというにほかならない。 余計ながら、今秋に施行される 「マイナンバー」 なども、わたしは暗然とするおもいである。 庶民に対し利を唱え、そこにフォーカスさせておいて我われに手かせ足かせをするつもりなのだろう。 21、22世紀の収容所がわたしたちの日常に、いやすでに存在してしまっているのかもしれない。 末法千年とすれば、まこと今の世は末法・法滅の世といっていいのではあるまいか。 わたしは畜舎の隅でいきをころしながら棲んでいるいっぴきとして、そういった危惧がまずさき立った。 ・・・・・・・・・・ さいわい、北河内に津波はこなかった。 ところで、この速報メールのせいで平素の睡眠サイクルが狂い、翌日もそれがつづき、いま、こうやって久しぶりにヨイッパリにてだらだらと過ごしている。 深夜二時に食う ”蒸し鶏” は GW ということもあってかなかなか美味いものである(柚子ポン酢でいただいてます)。 この章は、ほんとは当方のバイト解雇のいきさつについて書こうとおもって筆をとったのだが、そこまでにはいたらなかった。 至ったとしても、それはつまらない、痩せた記事になるであろうから酒を優先する。
by utaushimoyama
| 2015-05-04 02:32
| 雑報
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