不思議な場所、というほかない。 昨日ゴミ捨て場で本を拾ったと書いたが、今日もすててあった。
バイトをするかぎりいやでも目にするそのゴミ捨て場から興味のある本を八冊ほどもってかえったが、どうみても新品もしくは読まれた形跡がほぼないのである。 ちなみそれらの本は某辞書のようにハードカバーがついていて、さすがにそれは汚れていたから自宅で処分した。
その場所は本だけでなく、今までにもいろんなものが捨ててあった。 不思議だ、とおもうのは、たまにとても高価そうな、充分転売できるんじゃないかといったモノが捨ててあるのを幾度も見たからである。
「高価なものとは、どのようなものか」
と訊かれたら多少困るが、とにかくそういった物質的価値のまだある品物が捨ててあったときはどこからともなくあらわれた親仁どもが講釈をたれつつ持ち去った。
わたしは捨ててある本を検分しつつ、
(昨日の今日ということは、捨ててるひとはシリーズ全巻持っていてそれを小分けして連日捨てるつもりなのではあるまいか)
ところで盗品や事件物といったふんいきはない。 「朱子」 は古本店で¥200ほどだったのを覚えている。 わたしが拾った本に至ってはおそらく引っ越しなどの家財処分で捨てられたものだろう。
むろんそう思えたから持って帰ったわけだが、しかしこれらの本をいったいいつ読むのか、これはなにかの縁に遭遇しないかぎり開きそうにないひとたちばかりである。