各偉人をピックアップした全八十巻からなる 『人類の知的遺産』 という書物が講談社から出ている。
孔子やフロイトアリストテレス、さらにはウパニシャッド哲学や孫文先生など、タイトルどおり後世のひとたちにとって知的財産になる先人の教えを解説している本である。 哲学のほか文学もあるが、初版は四十年以上まえになるのだろうか。
この日わたしはバイトに出かけたが、市内のあるゴミ捨て場でマルクス・カント・ヘーゲル・老子・荘子、トルストイにドストエフスキーが陽を受けながら黙然と積まれていたので、家に持ってかえった。 いずれも上述のシリーズであった。
わたしはいま仏教に関心があるからこれらの本をいつ読むかは気が遠くなるが、それはそれでいい。
いいのだが、捨てられて勿体無い、とこのときおもってしまったのも物を惜しむ意識からなら、それを拾ってかえったという行為は餓鬼道のはじまりではないかとおもう。 別段なやみはしないが、未来にはきっとなるほど、とおもえる事に出会えるはずだから、やはりなやみはしないかなあ。