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下山正博という男にはなにか逃避行のにおいがする。
世間から隠れ人の目も避け、しまいには自分からも逃れようとしているのではないか。 「じっさい、そうかもしれない」 にべもなく彼はわたしに言い放った。 そしてその逃避行として、彼はカブでの旅が一番いい、とも言った。 「まったく知らない土地にぽつんと降り立つのさ、急に湧き出たみたいにね。そこでいろいろとあそぶのさ、むろんひとりでだよ」 さらに、その旅先で自分のことを知っているひとがいてたり出会ったりしては駄目なんだな、と、知り合いのひとたちが聞いたら怒り出しそうなことまで言う。 すくいようのない、まこと変人というほかない。 この変人が昨年の七月、近江をすこし旅したらしい。 そのことをブログに書いてくれと頼みに来たのは、つい先日のことであった。 「密さん、わたしはどうにも寒がりでね、旅は夏場しかする気がしないんだ。 で、今年もそろそろ道行するつもりなのだが、如何せん昨夏の旅記事をまだアップしていない。 なあに、長い説明とか文章はいいから旅先の写真を載せてくれればそれでいいんだ。なにか書きたいことがあればなんの制限も締切もない、もちろん書いてくれたらいいしとにかく」 やってくれないか、と、書生くさいこの男は言った。 そして締切などない、と言っておきながら六月いっぱいまでには仕上げてくれと言う。 同じことを言ったり内容が前後してたりして、どうにも話し方がヘタなのだろう、なにが言いたいのかわからないときがほとんどだ。 そういえば偶然にもわたしと同じ下山という苗字だが、別段親族などといった関係性はない。 関係のない下山は最近、惟鴒、と号することにしたんだ、と変によろこんでもいた。 とにかくこの男、下山正博氏はなにかとやることがあるらしくわたしは閑人であるし、まあ依頼を受けた。 簡易な旅記事なので読むというよりは写真など眺めて、といった気分でなにかを感じてくれたら、たとえばどこかにドライブに出掛けようとか、そういった陽極的なきっかけになってくれたら書いててうれしいかもしれない。 以下は、昨夏近江湖東を旅した下山正博の足跡である。 ・・・ 「レタスのしゃきしゃきっ、としたところが、なにかうまいんだな」 と、下山は以前言っていたがそれならサンドにせずレタスだけ食ってりゃいいだろうと思ったが、まあそうおもったのはすこしおもいやりがなかった。 にわかな旅人はサンドウィッチに挟んであるレタスが、局部的に美味いとかんじるようである。 東にゆけば、写真のようにこれはダムなんだか、とにかくこの静止した水流が瀬田川になっていくのである。 ・・・ 隠逸癖があるくせにこういったことを言う。 そもそも出不精の対人恐怖症者がひとまえで歌をやっているということも矛盾しているではないか。 まこと不自然な人間だし、あきらかに一般的理解から懸絶している。 この事件は二人組の原付カブ旅行者を襲った不意の悲劇だったのだが、その事件の現場とこの写真はかなり類似する。 旅人下山もこの場面に遭遇したときには慎重なスロットルさばきをし、さらに注意を重ねて発進に至るのだと言っていた。 「ダルマ屋ウイリー事件」の詳細については素晴らしいDVDが出ている。 快作、『水曜どうでしょう』の原付シリーズをぜひ観てもらいたい。 たしか「西日本制覇」の回での事件だったと思うのだが、このときは周山街道など走行してて、なんとも楽しく、面白かった。 余談ながら筆者はこの原付シリーズ、2011年の「原付日本列島制覇」の回が一番のお気に入りだ。 「水曜どうでしょう」のファンだというひとはいまだに、半袖半ズボンで虫を獲りに行くといった、そういった夢中な少年がこころのなかに棲んでいる。 出演者のひとたちの才能や努力もむろんだが、なかにはそういった少年たちの抑えきれない躍動するきもちが、「水曜どうでしょう」という番組をベストセラーにしたのだろう。 写真のこのあたりは流れが速く、たしかカヌーで急流下りをさせてくれそうな店があったが、瀬田川、という言葉の響きにカヌーは似合わないと思うのは筆者だけだろうか。 写真に写っているあの橋を渡った。 不確かだが「南郷洗堰」という名称だったと思われる。渡ったところあたりに、南郷水産センターという施設もあったはずだ。 この唐橋には龍が棲んでいるとの伝承があったり、俵藤太百足退治の伝説などもある。 瀬田の唐橋は歴史小説を読んでるとたびたび登場する橋で、筆者としては多少の感慨にふけれる場所でもある。 あの橋の中央あたりの川底に竜神の棲家があるらしく、信心深かった往古のひとたちは舟で往来するとき、あの川のまんなかは通らなかったという。岸のほうを静かに航行した。 この唐橋のそばに、瀬田神領の地に日本武尊を祀る社がある。 近江国一之宮、建部大社である。 であるがしかしながら、この波打つ玉砂利は神域がもつ独特の清涼感としんとした朝の陽射しに、さらにひとつ、この境内に美しさを添えているようで、どうにも踏み込むのには多少、気が引けてしまったのである。 空は蒼く地は美しくととのった玉砂利で、そのあいだをゆく下山は一個の自然物となっていたにちがいない。 彼にとってよい印象の、とても清々しい参拝になった。 昭和二十年という時代に発行された紙幣の図柄として、神である日本武尊がえらばれている。 筆者は明治から昭和という時代にかけての出来事について、まださほどに詳細な知識を持っていないが、この選定はなんとなく得心がいった。 そういえばこの千円札の次の図柄に選ばれるのが、あの初代総理大臣伊藤博文なのだろうか。 図柄が神から、周防出身の元お百姓さんで利助という少年だったハクブンさん、という人間にかわるわけだが、これは明治国家からの時代の流れのなかで、とても大きな変化があったことを示す、いわゆる傍証のひとつと言えるだろう。 この紙幣の存在を知らなかったが、であるがこの千円札はさっそくに、旅人の下山に物語りはじめていた。 「本殿の真ん前で、神様と一緒に写真を撮ってあげましょう。きっと勝ちますわ」 とは、どこかのお子さんのお祝いかなにかでご家族と同行、撮影に来られていたプロのカメラウーマンである。 ぱちり、とプロに撮ってもらった。 僥倖といえる。 その写真はいまも拙宅に大切に保管してある。 写真、こちら対岸からは筒型に見えるが実は半円型であるあの大きな建物は大津プリンスホテルだと思うのだが、とにかく近江において巨大な建造物は、もうあれきりにしてもらいたいとは、眺めるたびにそう思うほかない。 とおくには水生植物公園「みずの森」、そして風力発電の風車が見える。 そして写真に写っている一行はなにをしているのだろうとのぞいてみると、みなせっせと写生をしていた。 カブでやってきた下山はそばにあった木蔭に座り込み、風景をたのしみながらこれまたせっせとパスタとハンバーグを食った。 まことにデミグラスな味である。 でっかい蚊なのかアブなのかなんだかよくわからないが、とにかく刺す、という攻撃性をこの虫はもっているだろう。 そしてどういったわけでこんなつるつるとしたステンレスのボトルに留まることができるのか。 とにかく同じ木蔭でこの羽虫と一緒に休憩することになった。 あの大橋から北は、琵琶湖は一気にその湖面を雄大に拡げていく。 鳰の海だ。 幾枚とつづくこの七月の稲の新緑は、本当にとても眩しかった。 滋賀県には雄大な山々と畿内人にとっていのちと言える琵琶湖、そして美しい田園がある。 はたして稀有の県と言っていいとおもうし、四季の移ろいのなか、これら自然はその季節すべてにおいてとても素晴らしい景観のはずだ。 昔の人はいまのわたしたちよりもっと鋭く、しぜんとそれらを感じていた。 そして自身の視野を限定せず、悠々と眺めれるというところにもおおきな意味がある。 後世のひとたちにも見せてあげたいから、都会化されてしまったところは仕方ないので、のこっている自然はなんとかそのままにしてほしいと思ってしまう。 大阪という都市に住んでいるから余計にそう、おもってしまうのかもしれない。 進行方向右手に見えた山に長命寺という寺があるらしい。 さほど高い山ではないだろうがここは麓の、そのお土産屋さんなどがあるところだ。 そういえばこの道で、とても速そうなバイクに乗った若者からさわやかな挨拶を受けた。 夏の木もれ陽のなかをゆっくりとくぐりながら、彼は前方に走り去ってしまった。 下山はすこしのあいだ、その霞で滲む旅の空と海の境界を見つめていた。
by utaushimoyama
| 2013-05-19 11:30
| 建部大社多賀大社カブ一人旅
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