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先日、一通のメールが届き、果たして萱島ジャズ店のマスターからだった。
「来る14日木曜にライブ予定。参加求ム」 といった内容でそういえば14日はバレンタインデーだなどと思い出しさらにはもう二月ではないか、とあらためておどろいてしまった。 光陰矢の如し、14日は予定がなかったのでむろん参加する旨の返信をし、当日をむかえる。 萱島のジャズ店は、 『OTO屋』 という屋号である。以前から思ってたのだが、なんとも字面がいい。 なにかひとびとが蝟集するといった場所ではなく、ふたり、といった雰囲気や気分がある。 Tが店を覆う屋根だとすれば、たまたま出会ったふたりが店内で仲良く並んで音楽を聴いているようでもあり、親密なふたりがテーブルに向かいあい演奏そっちのけで会話しているようにも見えなくはない。 さらには、「おと」という単語を英字で表現し、そのうしろに漢字で「屋」、を持ってきて、続けて「おとや」と読ませるあたり、こんにちでは歌舞伎などで知られる堂々たる近世からのネーミングであり、この店の所在地が日本であることが一目瞭然である。 そして「おと」を「OTO」とすれば、純和風な店(たとえば琴棋書画の類)でないことも明らかで、文字は読むものかもしれないが、この屋号の場合はどうにも視覚的印象を狙ったかのようなふしがある。 OTO屋のマスターは絵画にも長けていて、店内の壁など、いたるところにその作品がひしめいている。 すこし、おおげさに言えば現代の小堀遠州のようなひとかもしれないし、その多角的芸術感性と決して壟断としない庶民感覚を内蔵する人柄は、言いかえればどう堤防をこしらえても抑えきれない河川の氾濫のようで、その魅力はいつもひとびとの胸に溢れている。 わたしはこの店でジャズと分類される音楽の初歩を、マスターをはじめたくさんの先駆者がかかげる炬火をたよりによろよろとついていき、学んだ。 何も知らないのに初来店から二週間ほど経ったある日には、もうジャズフェスかなにかに参加してしまっていた。公衆の面前でジャズスタンダードを歌ったのはその日が初めてで、とくに断ろうとしたり躊躇した記憶がない。むしろこおどりして参加したような印象しかなく、初心者がまこと危うきこと累卵の如しといったもので、当時のメンバーや聴衆には頭が上がらないおもいである。 それからこんにちまで、かなりの月日を経てきたが非才にして懶惰、いまだに上達せず聴きにこられるかたたちにはお詫びの気持ちが常に先行してしまう。 しかしながら聴衆かたがたはそんなわたしのことを駁することもなく、いつも諒恕的な姿勢で聴いてくださっているように思えて、いけないことのようでもあるが、演奏は幸福なひとときであるということは間違いではない。 ふとした想いからジャズという大地の地殻を割ってひょこりと芽を出してはみたが、いまさら立ち枯れする気などは毛頭なく、晴雨を友とし万象に感謝しながら、愚考ながらこのまますこしずつ、アダージョに枝葉をひろげていけたらいいなと思っている。 わたしはそういった所存で練習やライブを反芻し、たまに読書や記事を書いたり旅のことを想ったりして、月日を過ごしている。 さて、当日のことであるが、店の贔屓客やメンバーの知り合いなどで混雑、いっぱいで、なんと満席だったので帰ってしまったお客さんもいたほどだった。 ドラムレスのギタートリオ+わたし、といった編成で、ギターはK君がやってきた。 印象として、二年は会っていない。そのつもりで話してみると、 「ぜんぜん、そのまえにあってます」 と言う。さらに、 「下山さんまた痩せたんじゃないですか、やせすぎです」 などとも言いながら、ギターなど演奏の支度をしてたのだが、不意に真正面にK君のかおがあった。 おどろいてしまった。 (アンパンマンではないか) いつのまにか、かおが丸い。 以前会ったときよりかおがコンパスで書いたようになんだか丸い。さらには、ふっくらしたほほにはツヤがあり、色白ないい男なのだが、これで日焼けでもすればまちがいなくアンパンマンではないか。 ・・・ (会わないうちにアンパンマンになった) ギタリストがアンパンマンということもあり、演奏はおだやかな雰囲気のなかで流れていった。 この日は、かけだしのころよく聴きに来てくださっていたU氏も来店していた。ついでながらU氏は、トライアスロンに幾度も出場された経験をお持ちでいわゆる体育会系、いまだもってその肉体は頑健そのもの、といった紳士である。 「Uさんお久しぶりですっ、三年以上はお会いしておりませんでしたね」 と興奮気味にはなしかけると、 「そんなことはない、そのまえに会っている」 と言いなさる。 ・・・ はて、K君の言しかり、ドッペルゲンガーが夜な夜な来店してるのか。自身の健忘ぶりは自覚しているところだがすこし気味わるくもあった。 まあ、むろんわたしが思いちがいをしているだけのことなんだろう。 「おいおい、どうしたんだ。 それより今日は楽しみに、よろしくたのみますよ」 埴輪のようにぼんやりしてたわたしに、U氏は微笑みながら声をかけた。 この日はU氏の依頼で、ピアノ弾き語りで「コーリングユー」を歌わなければならなかった。歌詞も譜面も完璧に用意できなく、そのことを承知してもらったうえでお粗末なピアノを聴衆に聴いてもらったわけだが、頓狂な演奏にもかかわらずあたたかい拍手をいただけて、胸をなでおろすといった心境だった。さらにはライブ中の貴重な時間をいただいて、まこと感謝というほかない。 アフターセッションでは何人かのヴォーカルのかたが歌ったり、ついでに萱島交番からおまわりさんまでやってきた。さほど夜も更けてなかったはずだが、騒音苦情の通報が入ったのだという。 申し訳なさそうにおまわりさんがそう説明するとほぼ同時にマスターと店刀自のメットさんが、 「うちではない、知りません、絶対にちがう」 と、おまわりさんが言いおわるまえに晏然とした態度で言い放ってしまった。タイミングとしては絶妙を謀ったものと思われる。 これはボクシングでいうところのカウンターパンチにほかならず、さらには二人がかりでもあり、おまわりさんはすっかり気をくじかれてしまった。 (さすがはマスター、メットさんもずっしり、腰が据わっている) 余談ながら、パトカー消防車救急車といった非常事態時におけるこれら三大車両は、ことごとくこの店を発生点とし出動した過去をもっており、しかも一度や二度ではない。 その都度応対にあたるマスターのその場合に応じて働く才知、機智といっていい、それらウィットの富み具合はじつに老獪(むろん良い意味で)な立ち回りを常に見せており、この日もそのフットワークを聴衆の前にありありと見せた。 今回も過去の事件事例と同様に火の粉を振りはらい、事なきを得てしまっている。 一介のジャズ老店主とは思えない、おどろくべき天質的回避能力である。 この日はバレンタインということもあって、チョコをいただいた。お店からと、わたしのことをまったく知らないのにメンバー全員分を用意してくださったかたもおり、とにかく恐縮しっぱなしだった。 二月というわりにあたたかく、帰路の夜空に星はなかった。指先も凍らず吐く息も白くただよわなかったが、左手の家並の奥あたりか、どこかで猫が啼いている。 (そうだな、ないてみるのもいい) 右には街灯をほのかに映す寝屋川の川面が、くらく堤防の下に横たわっている。 道は、わたしひとりだった。
by utaushimoyama
| 2013-02-19 19:57
| 音楽のこと
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